DVD第2弾
早くも6月に突入しました。梅雨に入りましたね。
5月最初旬にクラシックギタリスト<富川勝智先生>による、クラシックギター奏法伝授シリーズがMOBオリジナル企画として、スタートとなり、東京都世田谷区にあるライブハウスM's Cantinaさんより発売となりました。DVD vol.1「身体を感じる」に引き続き、6月初旬にvol.2「右手を感じる」が発発売となり、先日届きました。Vol.1はクラシックギターを演奏する上での身体の使い方が細かく解説され、音を出すことは身体との対話である、音楽は身体の内面から作っていくことを学んでいきました。vol.2vol.1をさらに詳細に分析し、右手のタッチを技術にどう結び付けていくか?、右手のテクニックに特化し、身体とのつながりを考えていきます。最後には良い音楽をするために何をすべきか、大きな大きなテーマを与えてくれています。内容はさらに深く、一言では語れません。。。今回はM's Cantinaさんで講義を受けている感覚でこのDVDを鑑賞しました。
前回同様、チャプター10まであり、とても的確にまとめられています。オリジナル器具?の指の模型や爪の振動マシーンが登場し、とても分かりやすく、楽しく学ぶことが出来ました。各チャプターの最後にキーワードが出てくるのですが、どれもなるほど~その通り!という、納得のまとめになっています。私が受け止めたキーワードと感想を書いてみます。

1:指先と腕の関連
ギターは指先だけで弾くのではない。骨のつながりをイメージすることが大事である。人差し指、中指は橈骨側、小指、中指は尺骨側につながる。触ってみて腕とのつながりを感じる。指の骨は4つあることも確認!身体のつながりを“内観”する。体気電源をONにする。・・・時に自分の指や腕の骨を触って意識して、感覚を研ぎ澄ませたいと思いました。
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2:指の関節と動き
指の骨は4つ(DIP,PIP,MP,CM関節)あることを知る。リアルな指の模型が登場します。それぞれの関節を意識するが、中でもギター演奏ではMP関節を一番使用する。(MP関節を正しく使っている人は手相もしっかりとついていて、良い人生を送っている人だという話も!おもしろかったです。)MP関節は前後だけでなく左右にもぐらぐら動くので、さらにもう一つの忘れがちなCM関節を意識するとバランスが取れる。腕へのリンクという意味でCM関節は重要である。・・・実際CM関節を意識するだけでも音色の質もだいぶ変わってくると思いました。
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3:右手の弾弦アクション
実際どういう風に弾いていくか?を学ぶ。キーワードは“関節の固定化”。弾く時に、指の弦へのひっかかりを感じるのは指の関節をロックしているからである。ロックすることで腕全体を支えている感覚が生まれる、これを固定化という。いかにエコノミーに弦をロックさせたり、ロックする関節を変化させたりすることで弦の振動、音量を変えていくことが出来る。固定化を指→腕→腕全体と感じていくと、指だけでなく腕のアーチもでき、腕全体のバランスが取れる。それを感じるための実践練習法や指の振動マシーンが登場します。これは分かっているようで、なかなか出来ていない・・・深い内容でした。
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4:指先と爪
自分の爪がフラット型なのかラウンド型なのかを把握する。さらにスローモーションで弦を振動させ、“どこで弦をとらえ、どこで弦をリリースするのか?”を意識することが大切。その上で、フラット型はカーブをきつめに作る、ラウンド型は平たく作るなど爪を整えていく。弦を引っ張る動作が、弦のナチュラルなアクションに結びつくようにする。スローモーションで自分の弦のとらえ方を研究すること、大事だなぁと思いました。
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5:アポヤンドとアルアイレ
アポヤンドとアルアイレの右手のフォームは一緒であり、前者は太めの音、後者は軽めの音になるがほぼ同じである。そのためにはPIP関節をどれくらいロックするのか?コントロールすることが重要。右手スペシャルマシーンが登場し、PIP関節と結び付けた解説で、改めて見直すことが出来ました。
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6:右指の戻し
一音弾いたら弾ける体制に戻さなくてはならない。弾いた後に戻す、ここまでをワンアクションと考えることが大事。特にアポヤンドで弦を押した時はまだ弾弦動作が終わっていない。置いておくという意識は音の持続のイメージを与える。押す→戻すことで音を自分の中から外へ出すイメージがある。①どこで戻すか、動作の完了点を意識する弾弦、②押すことに重きを置いた弾弦、この2つの弾弦のイメージの違いを感じてみる。“ギターは押さない、引っ張らない、たたかない”という言われがあるそうですが、これはまさに戻すことを意識した考え方だなぁと。これも深いです。音を前に出すイメージを持つだけで音質感もだいぶ変わるので、戻しを意識して、丁寧に行ってみたいと思います。

7:アングルによる音色の変化と腕の関わり
歌い手さんでも自分に内面にこもった内向的な歌い方、大聴衆の前で堂々と歌う外交的な歌い方があるが、ギターでもそんな弾き分けがあるということ。鎖骨側を意識するとアングルも斜めになり、こもった感じのソフトな音色に、肩甲骨側を意識、肩甲骨を後ろに引くと開いた感じに、カチッとした音色になる。大聴衆の前で演奏してきたセゴビアやレヒーノはなどの大巨匠は実に肩甲骨がおおらかに動いているとのこと、逆にリュート奏者は楽器を抱えるので内向的な弾き方の方が多いとのこと。内向的な弾き方では、赤ちゃんを抱きかかえるようなタッチという表現を使っていて、すごくイメージできました。指のアングルと腕(鎖骨や肩甲骨)とのつながりを理解した上で、アングルに変化を持たせると、こんなにも多くの弾き分けや音色の変化を出せるようになるのだなぁ・・・これは予想しなかった内容でもあり、新しい学びでした。

:内向と外向
6,7の内容がさらに深くなっていきます。音楽表現に結びついていく応用編です。i,m側は鎖骨を意識し、もやっとした音色、インナー感を、m,a側は肩甲骨を意識し、張りのある開けた音色、オープン感を出すことが出来、まずはその傾向を知る。さらに戻すことを意識すると音の余韻を味わうことが出来る。押す、戻す、どちらに重きを置くか、その程度を変えることで音色を変化させることが可能になる。対比するものをどう組み合わせるかで音色、音楽のグラデーションが広がり、ステージパフォーマンスにもつながってくる。かなりの研究が必要ですが、ギターの音色と向き合って、音色のパレットを広げようという素敵なまとめに感激しました。

9:音色のコントロール
実際にこれまで学んだことを富川先生がクラシックギター奏者としてどう演奏に取り入れているかをソルの月光で解説してくれています。音の方向性を考えて演奏していきますが、内向なのか、外向なのか、内向でも少し前に出そうとか、フレーズの一音目だけ前のポーンと出そうとか、そんなことが自然にセレクトされています。自分が慣れている曲で身体の意識による音色変化を感じ、それを耳で確認し、自分の内部の感覚と結び付けていくことをやってみましょうというと締めくくります。自然にセレクトできるように、少しずつでもやっていきたいと思います。
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10:身体と右手のタッチ
vol.1~2を含めた総まとめです。身体の変化による音の変化をとにかく自分の楽器で試して感じてみることで音色のパレットを増やしていこう!と。音楽はいろいろなニュアンスを組み合わせて、ドラマを作っていくもので、イメージしたものが技術と直結してくることが理想です。また、技術とは小手先の技術ではなく、身体全体を意識して身につけていくものである。そのドラマに自分自身が満足できればよい。そして・・・音のパレットが出せる楽器を持つことも重要。銘器という言われる楽器はきたない音からきれいな音、暗い音から明るい音、陰鬱な音から羽ばたくような音まで出すことが出来る。楽器のポテンシャル=音色のパレットの多様さ、ということも納得です。プロ奏者はこういうことが自然とできているのだなぁと感じました。大きな大きなまとめでした。

vol.2は富川教室日曜ワークショップの応用編で、初めて耳にすることも多く、自分で言葉にすることも難しかったですが、このDVDを観ると観ないのでは、これからのギター人生が大きく変わると言っても過言ではないほどの知っておくべき、すごい内容でした。右手のタッチを技術とどう結び付けていくか?がテーマでしが、Vol.2ではギター演奏、音楽は身体全体で作っていくということをさらに証明してくれています。本当に一言では語れない膨大な内容です。そして音楽にはやはり終わりがないなぁと感じます。自分の身体の使い方や感覚を養っていくことで、音色も日々変化します。イメージを持つこともすごく大事だと感じました。ギターという楽器の難しさも素晴らしさも教えてくれます。DVDを見終えた時、研究課題がまだまだたくさん!と思いましたが、そこがギターを学んでいく楽しさでもあり、魅力でもあると思えました。日々の生活の中で身体全体を意識しながら、良い音色を、良い音楽を求めて頑張っていきたいと思います。

詳細はこちらのリンクです。
https://tomikawaguitar.sakura.ne.jp/wp/2020/06/01/%e3%80%8c%e5%af%8c%e5%b7%9d%e5%8b%9d%e6%99%ba%e3%82%af%e3%83%a9%e3%82%b7%e3%83%83%e3%82%af%e3%82%ae%e3%82%bf%e3%83%bc%e5%a5%8f%e6%b3%95%e4%bc%9d%e6%8e%88-vol-2%e3%80%8d%e7%99%ba%e5%a3%b2%e9%96%8b/

このDVDは、右手ときたら・・・次は左手!ですね。第3弾を体力を蓄えて?楽しみに待っています!6月の雨に似合う花、私の気に入っている紫陽花の写真をアップします♪
20200606紫陽花