すっかり秋らしくなりました。9月ももう終わりですね。
クラシックギタリスト<富川勝智先生>による、クラシックギター奏法伝授シリーズが
MOBオリジナル企画として東京都世田谷区にあるライブハウスM's Cantinaさんより発売されてから約5か月が経ち、なんと!この9月末にはvol.5が出ました。タイトルは「慌てず急げ」です。vol.1~4まではきっちりと真面目なタイトルだっただけに、vol.5には一体何が収録されているのだろう・・・?!興味いっぱいでした。実際鑑賞してみると、vol.1~4のまとめ以上にすごい内容が語られていました。自分の覚え書きとしてまとめてみました。

DVD5
1.ポジションに“こだわる”

左手のポジションを意識することはこれまでのDVDの復習にもなるのですが、常に意識して身体に染み込ませていかないとなかなか身につきません。“禁じられた遊び”と“マリアルイサ”でポジションを意識せずに弾いてみるとバタバタしてしまう。。。そんなお手本が分かりやすいです!どんな場合でもポジションの感覚の意識は常に持つこと、大事です。ポジションにこだわりを持って練習する、これを習慣づけることですね。

 

2.左手の準備と独立

左手の準備とは、次に押さえる形を指板上で作ることであり、その準備には、ポジションの中で各指がどこにいるのか?指を独立して動かせることが必須となります。ソルの月光のA7Dへのポジション移動を例に説明。この移動をしくじるのは準備ができていないからです。とにかくポジショニングがしっかりしていることが大事で、そのためにはどの指も安定した重心がとれること、指の軸を意識することです。私自身、ポジション移動が上手くいかないのは、左手に原因があることがほとんどです。。。

DVD5軸を作る!

3.指の軸を考える

難しい和音の押さえがある時、どの指に軸を置くかを考えます。カヴァティーナを例に説明がありますが、一般的には左の親指と人差し指、中指(1,2指)に軸が入りやすい傾向があり、どうしても薬指,小指(3,4指)は根性で?押さえようという風になりがちです。各指が4ポジションの中でどう独立しているか?どの指を中心とするのか意識するだけでもだいぶ楽に押さえられるので、そういうことを改めて気付かせてくれた大事なチャプターとなりました。指の入れ替え練習などの基礎練習も重心を考えながらやるべし!自分への教訓です。

DVD5 基礎連は重心を感じながら!

4.エコノミーな動作を考える

左手のエコノミーな動作を考える上で①大きな身体部位を使って押弦する、②力加減を試してみるの2つが重要。①は腕全体を使うということで、DVD vol.1の復習でもありますが、身体の中心を定めて、腕全体のつながりを感じながら押弦します。どうしても親指と人差し指のつまむ力だけで押弦しがちになりますが、腕全体を使っていれば、親指を離してもきちんと弾けてしまうことを証明してくれています。②はどのくらいの力を入れれば目的を達成できるのか?目的とは音程を作ること、すなはち、フレットに弦を乗せてあげることです。これは、どのくらいの力であればびりつかずに、どのくらいの音量が出るか?を自分で確かめていくことが必要です。基礎練習の中に取り入れ、左指の感覚を養っていくことが大切です。これも意識しないと力ずくで行ってしまうので、改めて大切な気付きとなりました。

DVD5 P離しながら!

5.フレットの存在を考える

これも深いです。フレットとは音程を作るためにあり、フレットに乗っかりさえすれば良いのです。そう考えるとフレットの“キワ”を押さえなくても良いということになります。きっちりキワを押さえようとするとかなり指に負担がかかってくるので、音が出れば逃げて良いということです。これは自分の楽器で押弦のポイントを確認して、感覚をつかむことだと思いました。ギターの弦高は低くすればよいということではなく、フレットの高さとも関係してくるので、そのバランスが大事です。なるほど~と思いました。フレットの存在意義をちゃんと理解したうえで音を出したいです。

DVD5 フレットの存在意義

6.腕の振りは最小限に

このチャプターは見て、聞いて、なるほど~と思うチャプターです。ポジションが取れていないために、押さえの移動の時にさらに大きく腕を振ることになり、音楽に遅れを生じてしまうというものです。5で学習したように、フレットの“キワ”を押さえようとすると斜めに押さえるような感じになってしまい、移動に無駄な時間がかかります。いかにもためを作って表現しているようですが・・・実は大きなタイムラグを生んでしまい、それがその人の音楽性になってしまうという解説がありました。意識してためを作るのと無意識にそうなってしまうのとでは大きく違う・・・これは重要なことですね。ギターは低音を押さえながら何か他のことをしなくてはならないので、常にフォームを意識し振りは最小限にすることが大切です。そしてフレットのキワを押さえなくても大丈夫であるということが身についていないといけませんね。

 

7.1-4フォームについて

このチャプターも重要です。1,2軸に頼りすぎてしまう初心学習における悪癖を抜いていくとありますが、私もまさにそうでした。。。人間の生まれつきの感覚はやっぱり親指、人差し指、中指側に中心があって、その身体感覚に忠実に持っていこうとしてしまいます。3,4指はけっして伸ばそうとしなくてもポジションを意識していれば絶対に押さえられます。古典期のアグアドやソルの教本ではローポジションを1-4で枠を作る、3フレットに4を置くように書かれているそうです。3,4の重心を常に感じること、1-4で枠を作ることを習慣づけることはとても有効だと思いました。できるだけ早い段階で習慣づけることです。

DVD5 12フォーム

8.ゆっくりと弾く

“ゆっくりと弾く”とは、指の動き自体もゆっくりとやることです。準備を考えることは大切ですが、さらにどの時点でどの指を離すか、どの指を押さえるかを考えることが重要。急激な指の動きは力みを生むので、平均した速度で行えることが理想です。押弦、離弦の指のタイムスケジュールを組むこと、プランを立てることです。“ゆっくり弾く”意味はこんなにも大きく大切なものだと改めて思いました。

 

9.トランスフォーム

ギターで言うトランスフォームとは・・・?ロボットアニメの変化が例えに出てきました()。ゆっくりと形を変えて、移動することを意味しています。特に和音の連続の時など、各指がどういうベクトルに向かっているのか、そしてその動きができるだけスムーズになるように、徐々に変化していくことを意識することです。結果として直線距離としては最短で移動できるようになります。8の内容も深く関わっています。ロボットの変身のようにスムーズに平均した速さで行うには、とにかくこれまで学んできたことを意識して身体に染み込ませておかないと、トランスフォームはうまくいきません。まさに自分が弾いている曲にも“あ、ここそうだなぁ”と思える箇所があるので訓練したいです。

 

10.慌てず急げ

ついに出てきました・・・最後のチャプターです。1つの技術は小さなことの積み重ねであり、日本のことわざでは“ちりも積もれば山となる”、“石の上にも3年”、これが成果を出すための近道であると言われています。ただ一方で、あんまりのんびりしすぎてもいけない・・・ここで“慌てず急げ”です。ヨーロッパで古くから伝わることわざだなのだそうです。こDVDの内容は実に細かくて学ぶ内容が盛りだくさんです。でも決して慌ててはいけない、丁寧に小さいことを積み上げ、プロセスを考えながら、ケーススタディをこなしていくことが大事だということです。実際にギターでは、丁寧にゆっくりとした動きを練習していく。それを自分の曲で応用し、何回もいろいろな曲で試してみる。たくさんのケーススタディをたくさんこなして自分のものにしていく、ということが“急げ”の意味しているところなんだと思います。深い。。。最後はとても良いまとめで締めくくりました。

DVD5慌てず急げ

今回のDVD vol.5は普通ではなかなか聞くことができない内容だと思います。私は全てのDVDを鑑賞しましたが、やはりvol.14があってこそのおもしろさがありました。vol.5はvol.14を学んでから最後に観るのがお勧めです!

このDVDはギターを始めたばかりの方が見たら習得が早いだろうなぁ~とうらやましく思います。ある程度ギターを学んできた人であれば、全然意識してなかったなぁとか、ハッと気づかされることがたくさんあります。難関の和音の押さえができるようになったり、ポジション移動がスムーズにできるようになったり、絶対ヒントをもらえると思います。私自身、意識を持つだけでも練習の取り組み方が全然違ってくるのです。
ギターの奏法ってこういう風に言葉で説明できるんだなぁと特にこのvol.5では新鮮に感じました。このDVDの中で富川先生の解説を聞いていると、ギターを学ぶ過程も楽しくなってきます。難しい押さえもできる気がしてきちゃうのです()まだまだクリアできるかなぁと。このDVDを観ると、ギターの練習法をも見直すことができ、また新たな気持ちで学ぶことができます。ギターは難しいですけど、奥深くて、魅力的な楽器ですね☆
それにしても、“慌てず急げ”とてもいいことわざだなぁと思いました。材料を与えられても自分のものにならならければ意味がありませんね。これからギターでも仕事でも役立ちそうです。“慌てず急げ”の意味もしっかり理解して、意味のある練習を重ね、自分のものにしていくことを目指して、これからも頑張ります!とても楽しく学ぶことができました♪


DVD Vol.1~5勢ぞろい!記念撮影しました。この5枚にはすごい内容が詰め込まれています。

DVD5枚!!!!!
最後にちらっと?!もしかしたら・・・このDVDの続編が出るかも?!とのお話もあったので、それまでにしっかりVol.15まで習得しておきたいですね♫(続編、楽しみですね!)

詳細はこちらに載っています!
https://www.facebook.com/MsCantina

秋も深まり・・・最近はこんなカップでお茶を頂いています(^^♪

秋のカップ